大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(ネ)844号 判決

一 被控訴人が左記確定日払の約束手形二通の所持人として(一)の手形を昭和五二年五月七日に、(二)の手形を同年六月七日に、それぞれ支払場所に呈示したが支払を拒絶されたことは当事者間に争いがない。

(一) 金額        金八〇万円

満期        昭和五二年五月六日

支払地振出地    秩父市

支払場所      埼玉県信用金庫秩父支店

振出日       昭和五二年一二月二七日

振出人       被控訴人

受取人兼第一裏書人 有限会社足立屋商店

被裏書人      被控訴人

(二) 金額        金七〇万円

満期        昭和五二年六月五日

その他の手形要件は(一)の手形と同じ

二 そこで右のような振出日の日附が満期より後となっている手形の効力如何であるが、これを無効とする控訴人の主張は畢竟するところ、右のような手形振出行為は不合理な満期を記載したもの、不能の満期を記載したものとして、支払委託の内容に矛盾あるものとして無効に帰するというので、これにつき考えるに、

(一) 満期が現実に振出された日より過去の日附となっていれば格別、それ以後の日附であるならば、呈示、支払が不能になるということはあり得ない。本件各手形は前記認定のように、満期の翌日もしくは翌々日に呈示されているのであり、不能の満期を記載した手形として無効であるという主張は当らない。

(二) 次に不合理との主張についてであるが、成程本件の如き手形は一見如何にも不合理である。しかし合理的に解釈するならば、本件の手形にあっては、振出日の記載が誤記であるとみるのが自然であり、前記のように本件手形の満期はいずれも呈示可能な日であったことからして、その現実に振出された日は右満期より以前の日であることが明らかであり、この事実と成立に争いのない甲第一、二号証の裏面に、第一裏書の日附としていずれも昭和五一年一二月二八日と記載されていることからすれば、本件手形の記載自体からみても、本件各手形の振出日欄に昭和五二年一二月二七日とある記載は昭和五一年一二月二七日の誤記であると認めて差支えない。

してみれば本件各手形は結局においてなんらその手形要件において欠けるところはないことに帰し、有効であるというべきである。

(安藤 森 新田)

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